【独り寝のお作法】

116. 日本画美人に扮したラブドールが、妖艶だけどエロくはないのは何故なのか


hitori

 先日、東京・銀座のヴァニラ画廊で開催していた「人造乙女美術館」。オリエント工業のラブドールの系譜をたどり、人形の新たな可能性を引き出す展示で、今回で5回目を数えるそうですが、私は今回初めて足を運ぶことができました。オリエント工業のラブドールは、古い語でいうと「ダッチワイフ」に相当しますが、トップ画像を見ていただければおわかりになるとおり、あまりの美しさにアダルト業界以外からもアツい視線が注がれています。
 画廊のオープン時間早々か、会場内はすでに人でごった返していて、その半分以上は女性でした。この雰囲気、春画展の会場と似ている! 理想的な女性美を追求したドールだけに、女性の関心が高いのも当然でしょう。私個人はドールの顔を見るとはっきりとした性的興奮を覚えます。私はヘテロですが、これだけエロスを全身で表現しているドールを前にするとどうにもムラムラするのです。

 今年の展示は「オリエント工業☓日本美術」。日本画に描かれた美女をそのまま同社のドールで再現、という試みがなされていました。人気沸騰中の池永康晟氏による作品「如雨露」をはじめ、絵からそのまま抜け出てきたかのような日本美人たち。それぞれ「桜樹志乃モデル(写真左)」「沙織 うれい顔モデル(同左)」といった人気のドールを起用しているのですが、作品世界に合わせたヘアメイクが施されているため、↓とは別人のよう。「沙織 うれい顔モデル」はこうして見るとロリっぽさが際立っているのに、同展では、切れ長の三白眼でキッと空を見つめていて、その情念あふれる表情に肌が泡立つのを感じました。


hitori

 同社のドールは基本的には男性のために作られていますが、その顔に眉を描いたりまつげをつけたりメイクを施すのは女性の仕事です。現実の女性のメイクを踏襲してリアリティを出しながら、なおかつ男性の性的琴線をくすぐる顔にするというのは、なかなかむずかしい仕事だと想像されますが、そこは職人ワザ。その腕が今回の日本画コラボでもいかんなく発揮されているのです。

エロいドールと、エロくないドール


 しかし……エロくない。日本画美人になった女性たちはそれぞれに妖しく、艶っぽいのです。日常のふとした仕草から色気がこぼれ落ちていて、ふくよかな香りまで漂ってきそうです。一体は、着物の前がはだけて豊かなバストが見えてもいました。でも、エロくはないんです。ここでいう「エロい」は、男性でいえば勃起する感じ。女性でも、心のなかのチンコが反応する感じって経験したことありませんか? ラブドール本来の役割はこの性的衝動をONにすることにあるはずですが、日本画美人になったドールはその役割を取り外されています。そんな単純に勃起しては、彼女たちに失礼なような気すらしてくるのです。

 一方、ギャラリーの壁には同社のラブドールを撮り下ろした写真作品が展示されていました。ランジェリーや、男性好みの清楚系ワンピースをまとい、「本来の姿」で底にいる彼女たちを見ると、「やっぱりエロいな~」と欲情します。

 最初は、本来の彼女たちが空っぽだからだ、と考えました。どこを見ているかわからない瞳、半開きの唇、男の欲望を受け入れるために作られ、だからこそ空っぽでなければいけない。そうでないと男性は妄想を膨らませられないし、勃起もできないのだ、と。

 実際、「沙織」というモデル(先ほど紹介した「うれい顔モデル」とは別の、スタンダードモデル)は、「造形的にリアルすぎず、見る人の気持ち次第で笑っているようにも悲しむも見える、曖昧な部分を多く持った表情をしています。まるで能面のような顔を持つドール」*だそうで、ドールそのものが感情や意志を表現していたら、観る側の妄想も限定されてしまいます。*「人造乙女美術館」パンフレットより

hitori

 男性の性的欲求を満たすためのドールとしては、以前、↓を紹介したことがあります。これ、わりとロングセラーの商品なんです。股間にオナホールをセットして使う、という使用方法は同じでも、オリエント工業のドールとは天と地ほどの差がありますね。でも、「オリエント工業のドールは高くて買えないから、コッチで我慢する」のではなく、こののっぺらぼうのドールが好き、という愛好家がいるのです。

究極に空っぽのドール


 私はこれを見るたびに男性の妄想力に感心してしまいます。これでヌケるってスゴイ。女性にはない感性です。彼らにいわせると「好みでない顔がついているくらいなら、まったくないほうがいい」とのことで、究極に空っぽなドールなのです。「結局オトコは穴が開いていて、中身が空っぽっていうのが最もヌキやすいってことか!」と思わなくもないのですが。


hitori

 と考えると、ラブドールは情報量が多すぎてそこまで「空っぽ」とはいえないのではないか、と思えてきました。むしろ、「記号」をどっさりつめ込まれています。大きなオッパイに華奢な腰、薄ピンクの乳首といったリアルなようで現実離れしたボディも、毛穴もシミも一切ない肌も、常に上気した頬も潤んだ瞳も、ツヤツヤふっくらリップも……。すべて男性を欲情させるために散りばめられた記号。その集合体がラブドールです。

 だからその記号を外し、日本画美人と化した彼女たちには、色気はあっても欲情スイッチを押すエロさはないのです。日本画の物語や世界観が確立されていて、そこに妄想の入り込む隙がない。チープな記号などすべて弾き飛ばしてしまっています。同展の狙いのひとつに「人形の新たな側面を違う角度から見つめなおす」といいますが、その結果がラブドールとしてのエロさを失うということなのだから、なんともアンビバレントです。

 そして、こうした記号に満ちあふれたドールに性的な反応してしまう自分は、男性の視線を内面化しているのかもしれない、と気づきました。女性を記号で見る男たちに「ファッ◯ユー!!!」といってきたるもりなのに、実際は自分もそれに取り込まれている……。たいへん複雑な気分ですが、今後、掘り下げる必要がありそうです。


このコラムへのレビュー

コラムに対するご感想をぜひお寄せください。

プロフィール

momoko

■桃子さん

オトナのオモチャ200種以上を所有し、それらを試しては、使用感をブログにつづるとともに、グッズを使ったラブコミュニケーションの楽しさを発信中。著書『今夜、コレを試します(OL桃子のオモチャ日記)』ブックマン社。 ブログ twitter

オススメコラムリスト

掲示板

  • 無料動画、友の会(222)
    >クリアさん 私も何度かやったけど、ダメでした! 「掲示板に投稿する」を押すと、いつかのようにトップページの掲示板に貼り付けられてしまいます…
  • サイト変わった?(1)
    え?風俗紹介サイトになったの?

お支払い方法

クレジットカード
コンビニ支払い
銀行振込
その他の支払方法
ページTOPに戻る