【独り寝のお作法】

123. 秘宝館、ラブホ、イメクラ…。花開いては消えていった昭和エロスの味わい


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 昭和のエロス……いっても60数年あるのでひと括りにするのは乱暴ですが、私には漠然とした「あこがれ」のようなものがあります。そこにある混沌。清濁あわせ呑み、性の官能的な部分も、明るく突き抜けた面も、人間味あふれるしょっぱいシーンも、あるいは醜い一面も、ぜ~んぶ引っくるめている感じ。

 そこには、いま見ると「倫理的にどうなのよ」と思うものが少なくなく、女性の扱われ方に全力で異議を唱えたくなるものも多々含まれています。が、それも含めての混沌(そして、私たちはそれを考えなおし、否定することもできます)。平成エロカルチャーでは、女性にやさしくクリーンなものもだいぶ増えてきました。女性向けAV然り、海外製のハイデザイン・ラブグッズ然り。それはそれで女性が安心、安全に性を楽しむために必要なもので、私もそれを十分に享受しています。でもそれとは別に、もっとドロドロしたエロスを求める気持ちもあり、だから私は平成の世に作られていながら昭和の香りがするピンク映画やストリップなどに惹かれるのでしょう。

 そんな昭和エロスの文化遺産を見せてくれるのが、現在、東京・渋谷で開催中の「神は局部に宿る~都築響一 presents エロトピア・ジャパン展~」です。写真家・編集者の都築響一さんが記録、そして収集してきた日本独自のエロカルチャーを目の当たりにできる展覧会です。【ラブホテル】【秘宝館】【イメクラ】【ラブドール】【エロ老人】の5部構成。すでに廃業したり取り壊されたりしたところも多く、そこにエロ文化遺産があると聞けば必ず足を伸ばしてカメラに収め、人の話に耳を傾けてきた都築さんのおかげで、私たちはその文化の一端を垣間見ることができるのです。

都築響一さん(以下、都築)「“日本の場末”を取材しはじめたのは、1993~4年ぐらい。いろんなところを見ているうちに、日本人はエロに関してはスゴイんじゃないか思えてきました。しかも、こうしたカルチャーは都市部ではなく、日本の地方で花開いたという点も興味深い。そうやって僕が記事にしたり買い取ったりしてきたものを、“日本のエロ・クリエイティブ”としてまとめた初めての展覧会です」


ウフフというお色気のカルチャー


 冒頭の【ラブホテル】。1990年代~2000年前後はまだ昭和のユニークなラブホが数多く残っていて、室内を写したものがパネル展示されていますが、驚いていいやら笑っていいやら。貝殻モチーフのベッド、回転ベッド、鏡張りの部屋という昭和ラブホのアイコンなんて、まだ序の口。「どうしてこうなった?」の連続です。遊郭をイメージしたゴージャス系内装の部屋は単純に「こんなところでしてみたい♥」と思うのですが、すべり台やメリーゴーランドがある部屋や、あまりにバカバカしい意匠がほどこされた部屋は毒気を抜かれ、欲望に火が点かなさそう……。

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都築「ベッドが回転して喜ぶ人っていませんよ。むしろ、酔っちゃう(笑)。1分で1回転するんで、意外と早いんです。なのに、これがなんでウケたのか。回転ベッドのある部屋は、周囲の壁と天井が鏡張りです。自分たちのいやらしい姿が、ベッドの回転とともに万華鏡のごとく動いていく。といっても、それでエロが倍増するんじゃなくて、笑ってしまうんですよね」

 昨今のラブホはカップルユースだけでは生き残れず、女子会ユースやレジャーユースも取り込むなど変容を迫られていることは、以前お伝えしたとおり。昭和の時代こそ、ラブホ=セックスだと思いきや、欲望の琴線にまったく触れない、遊び心だけを増殖させた悪ふざけのような部屋に、かえって文化的な余裕を感じます。

 秘宝館についても、同じことがいえるようです。

都築「秘宝館の歴史は、1971年まで遡ります。最盛期には全国で20施設ほどありましたが、いまは熱海の1館を残すのみ。でもここは規模が小さいので、秘宝館文化はもう完全に死んでしまいました。今回は、私がめぐった11の施設の写真と、鳥羽にあった『SF未来館』のインスタレーションを展示しています」

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都築「これはもう、完全に日本独自の文化です。私が知るかぎりアメリカにこの手の施設はないし、ヨーロッパではアムステルダムやコペンハーゲンにセックスミュージアムがあるけれど、文化的な“インテリ系・上から目線ミュージアム”です。ピカソの性表現を解釈したり、民俗学的にアプローチしたり。プライドを捨てきれないんですよ。エンタテイメントとして極めたのは、日本だけです。しかも、欲情ではなく、ウフフっていうお色気でお笑いを誘う施設。そんなふうに性をとらえられる日本人の感覚ってスゴイなと思う」

『SF未来館』のインスタレーションは、その名のとおりSF仕立て。ナンセンス極まりないうえ、ときにグロテスク。これでヌケるかと問われればたいていの人は首を横に振るでしょう。しかも、FRP製(繊維強化プラスチック)の人形は、当時で1体約50万円かけて造られたもの。現在でいえば、200万円はくだらないほどの予算と技術をつぎ込んで、ヌケないエロスを表現するアホらしさ! いいな~。

都築「スケベオヤジの妄想のための施設と思われがちですが、秘宝館をいちばんエンジョイしていたのは、女性グループでしたね。男は意外と恥ずかしがっているのに対して、おばちゃん4人組とかがあーでもないこーでもないといいながら、長居するんです」

 これは私が春画展や、オリエント工業の「人造乙女美術館」でも感じたことです。性的コンテンツを臆することなく楽しむのは、平成女子の積極性ゆえと思っていましたが、そんなことはないようですね。女性の本質は、「ウフフと笑えるお色気エロス」に意外と寛容なのかもしれません。会場にあった「おさわり用」のオリエント工業ラブドールも、女性のほうが大胆に触っていました。


イメクラは独特のデザイン空間


しかし、これが性風俗の世界となると、女性にはわからないことも多いようです。

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 都築「イメージクラブ、略してイメクラは、いうなれば観客がひとりもいない場所で行われる演劇。客は頭のなかに妄想を携えてやってくる。たとえば体育用具室を模した部屋では、『お前はきょうも跳び箱を飛べなかった。いまから個人レッスンだ!』という台本まで用意してくる客もいるわけです。そのために考えぬかれた、不思議なデザイン空間。これをロンドンの有名ギャラリーで展示したのですが、現地の人にはまったく理解できなかったようです。いかに日本独自の文化なのかがわかります」

 イメージプレイが行わえる部屋は、正直とても殺風景です。唐突に跳び箱が置いてあったり、オフィス机が置いてあったり……シュールすぎ。これでイメージを膨らませながらプレイに没頭できる男性の妄想力、ハンパないです! しかしこれも、風俗以外の性娯楽の充実、細分化により過去の「遺物」となりつつあるようです。

都築「日本人が生み出してきた“性のスペクタクル”というか、直接性欲には結びつかないけどへんな感じのクリエイティブ、というのを見てもらいたい」

 と都築さんが語るように、エロス=ムラムラムンムンの性欲だけでなく、いろんな側面……大げさに聞こえるかもしれませんが人間の本質的なことをえぐりだすように見える昭和エロカルチャーの数々。いまはもうなくなってしまっているものだけに、こうして一度に鑑賞できる貴重な機会です。

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 最後に、TENGAやirohaが販売されていて、なぜかホッとしました。昭和の濃厚なエロスへのタイムトリップから、平成エロスに帰ってきた感じ。昭和、平成、そしておそらく次の時代も生きることになると思うので、エロカルチャーの行く末、見届けたいです!


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プロフィール

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■桃子さん

オトナのオモチャ200種以上を所有し、それらを試しては、使用感をブログにつづるとともに、グッズを使ったラブコミュニケーションの楽しさを発信中。著書『今夜、コレを試します(OL桃子のオモチャ日記)』ブックマン社。 ブログ twitter

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