【独り寝のお作法】

137. 問題は、セックス経験の有無ではない。「中年童貞」の何が気持ち悪いか?


hitori

 はじめてのセックスを経験する前と後で、自分は何か変わっただろうか。ティーンエイジャーの自分にとってそれは特別な体験でしたが、いま思うと人生の通過点のひとつでしかなく、これまでの半生においてそれより大きな転機はいくつもありました。ですが、どこかの段階でセックスという行為を経験していなければ、私はいまこうしてバイブだのオナニーだのセックスだのについてあーだこーだ書き散らす活動はしていないと考えると、それなりに重要な通過点だったと感じます。

 その通過点を経るも経ないも、何歳で経るかも、個人の自由であり、他人からとやかくいわれることではありません。けれど個人的には、「通過点を経ないことで抱える不自由は少なくない」と見ています。

 一度も性経験がないまま婚活をしている友人がいますが、セックスパートナーでもある結婚相手を未経験のまま探すのはかなりの苦労が伴うようです。お互いの人間性を徐々に知り恋愛関係を築き、そこから結婚を考える……というスタイルであれば、経験の有無はさほど大きく影響しないのかもしれませんが、その人がセックスパートナーとしてふさわしいかどうかを短時間で見極めなければならない婚活というスタイルにおいては、処女であることがプラスに働くことはなさそうです。

 セックス=相手との距離感をゼロにする行為と考えると、一度でもそれを経験することで得られるモノは少なくないでしょう。もちろん、「セックスを経験したことで抱える不自由」もたくさんあるんですけどね! 経験の有無それぞれにメリット、デメリットがあるし、それをどう受け取るかはその人次第だし、結局は本人が納得していればどっちでもいいじゃん、という話です。

 一方で「経験していない自分」に納得がいかない人生というのは、本人にとって苦しいばかりか、ときに周囲に多大な迷惑を及ぼしかねないと教えてくれるのが、『漫画ルポ 中年童貞』(リイド社)です。


中年童貞は、女性に何を求めているか


 8章にわたって登場する中年童貞たちの造形がたいへん気持ち悪く、嫌悪感がまず先に立ちます。といっても、それは彼らの外見によって生じるものではありません。……いえ、正直いうと外見も個人的には受け付けないレベルです(原作の中村淳彦氏曰く、漫画家さんがことさら露悪的に醜く描いているわけではなく“そのまんま”らしいのですが)。人様の外見を他人が一方的にジャッジするものではないとわかっていつつも、清潔感とかエチケットとかをまるっと無視した人物像には反射的に嫌悪感が……私もまだまだ修行が足りません。

 ですが、くり返しになりますが、ほんとうの嫌悪感は彼らの「外見」からくるものではないのです。では、何からくるのか。それは彼らの「女性観」です。その、あまりの身勝手さ。

 彼らは「理想どおりの天使のような素敵な女性」が現れて、自分のすべてを受け入れてくれる(で、童貞を卒業する)ことを夢見ているそうですが、その理想というのが聞いて呆れるものばかり。最たるものは、“処女信仰”です。

「人生でエッチをするようなことがあるなら 誰かの処女をもらいたい その人を自分だけのものにしたいって独占感が強いです」

「付き合った男が一人くらいなら友達程度で付き合えるかな……? 2、3人とかになるともう付き合うとか考えたくもない!! 人間じゃないって思っちゃうかも」

 そんな理屈のもと、幼女(なのに乳房は大きく、乳首も肥大化している)が自分を性的に求めるイラストをひたすら描く日々……。鳥肌が立ちます。その女性が処女だとしても、それはアナタのためじゃないし、経験人数が多くてもそれでもって人間性を否定するなんてありえない。思考回路が、ただただ異常です。

 「風俗なんか行く男は汚い!」といい放つ男性も登場します。これは風俗=汚いとしているも同然で、ここにも処女はキレイ、経験人数の多い/セックスワーカーの女性は汚いという偏見まみれの女性観があります。童貞である自分のことを「俺以上に女性や性に対して純情で純粋な男は見たことがない!」といい表してもいます。自分が体験したことのないセックスという行為に対する畏怖、そこからの汚れイメージのようなものもあるのでしょうが、何しろ偏りすぎていてゾッとします。


セックスにおける最低限のマナー


 ほかにもネトウヨ中年童貞や、女性に相手にされないため女性を憎み(自称・ミソジニー)男性とのセックスに逃げる中年童貞や、セックスしたい一心でAV男優を目指すも現場で女優さんに気持ち悪がられるだけの中年童貞などが続々と登場しますが、彼らが求めているのは一様に「自分のために存在し、自分の意のままになる女性」で、生身の女性とは完全に乖離しています。ゆえに現実と折り合いをつけられず、歪んだ女性像に固執すればするほど苦しいのは、ほかならぬ本人であるとわかっていても、私としては「女性をなんだと思っているんだ!」といいたくなります。

 私はセックスにおける最低限のマナーは「私とあなたは、別個の心と体をもった人間である」と認識することだと思っています。キレイ事のように聞こえるかもしれませんが、それがなければ互いを尊重し合うことはできませんし、欠如した人間が「愛しているならヤラせろ」「ナマでヤラせろ」「フェラはさせるけど、クンニはしない」といってくるわけです。それが最も歪んだ形で出るのが、性犯罪ではないでしょうか(中年童貞=性犯罪者予備軍、といってるわけではありません)。

 「相手を別個の人格として尊重する」はセックスにおいてだけでなく、あらゆる人間関係のベースになければならない認識で、親子間でも夫婦間でもそこを履き違えると虐待やDVにつながります。

 同書に登場する中年童貞たちはひとりの例外もなく他人の気持ちを推し量れず、コミュニケーションに難があります。彼らも好きでそうなったわけではなく社会構造の歪みや、そのなかでのちょっとしたボタンの掛け違えで中年童貞として生きることになった側面も強いので、すべて自己責任だとはいいませんが、個人的にはやはり関わりたくないなーというのが本音です。そして、その理由は「キモい中年童貞だから」ではなく、「歪んだ女性観に触れたくなく、その人と自分の境界線を私の許可なく踏み越えてほしくないから」なのです。


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■桃子さん

オトナのオモチャ200種以上を所有し、それらを試しては、使用感をブログにつづるとともに、グッズを使ったラブコミュニケーションの楽しさを発信中。著書『今夜、コレを試します(OL桃子のオモチャ日記)』ブックマン社。 ブログ twitter

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