【独り寝のお作法】

67.「GQ」セックス特集が肩透かし! 服がおしゃれでも避妊を知らないのはダサい


 世界のハイクオリティ男性ファッション誌「GQ」でセックス特集キタ!! しかも「日本人1000人のセックスライフ」ですって。男性のリアルなセックス観をかいま見れるかも! 一時期から比べると下火になったとはいえ、男性向け媒体でのセックス特集といえば、オヤジ系週刊誌の独壇場。オヤジたちは頭のなかが変わらずお盛んのようですが(実際にしているかどうかは別としてね)、熟年セックスは私たちからするとまだ先の世界。20代、30代のセックスってどうなってんのよ! という疑問への回答がきっとここにある……と期待しました。

 で、読後の感想は「薄ッ!」です。ページ数の話ではありません。30ページ超も割かれているんだから、総力特集にふさわしいボリュームです。そうではなくて内容。よくいえばとても優等生。フツウにいうと、すっごく表面的。率直にいうと「薄ッ!」なのです。「an・an」セックス特集を男性版に焼き直しただけで、媒体らしいもの、目新しいものがほとんどありません。

 最近、セックスしてますか? という問いかけからはじまり、22~39歳の男性を対象に「あなたはセックスが好きですか」とアンケートをとったところ、12%が「嫌い」と回答。そこからアラサー童貞6人になぜセックスしないのか、セックスしたいと思わないのか、などを訊いたインタビューは読み応えがありますが、そもそも1月に発売されて話題となった『ルポ中年童貞』(中村敦彦著、幻冬舎)に乗っかっての企画であることが丸見えです。

 ほかにこの媒体ならではの企画といえば、旬の鈴木涼美さんによる短編小説や、〈ふたりのセックス賢者〉として一流の識者おふたりの対談で、豪華な顔ぶれをそろえたぐらい。ラブグッズ特集も2Pだけとはいえ、女性による女性のためのラブグッズショップ「ラブピースクラブ」のセレクトでヨーロッパ系のすてきなバイブやローション、その他セクシーグッズが品よくページを飾っていました。近年は広告がらみの商品ばかりが並ぶ「an・an」とは比べものにならないほど、ハイセンス! このラインナップが、GQを愛読するおしゃれ男性の心に届きますように。

もうちょっと踏み込もうよ

 ちなみに識者の対談は、若者のセックス離れ、夫婦間で増加しているセックスレスがテーマでしたが、〈日本人がセックスしていた時代〉を振り返ると、企業において女性はお嫁さん候補で会社の募集要項に〈女子社員、容姿端麗〉と堂々と書いてあったとか、男性たちは慰安旅行や会社の飲み会の後で風俗に行って連帯感を強化していたとか、いえいえ、たとえみんながセックスできていたとしても、そんな時代イヤだよとしか思えない話をたっぷりした後で、「セックスレス化を防ぐには、日本古来のお見合いをはやらせればいい」とその時代へ逆戻りすることを提案されるのだから、拍子抜けしました。

 そんなことを思ってしまうのも、私が雑誌のセックス特集大好きで、発売されるとついチェックする習慣があるからかもしれません。変わった角度から光を当てるよりも、スタンダードな内容に徹したほうがセックス特集慣れしていない読者には届くのでしょう。そう考えると、1000人アンケートの内容に新味がないのも、むしろ道理。おおかたは「セックスパートナーはいるか?」「初体験は何歳か?」「前戯には何分かけているか?」「クンニリングスは好きか?」という定番の質問が並びます。でも、もうちょっと攻めてもいいんじゃない? そのなかに「セックスパートナーは男性か女性か?」とセックスをヘテロセクシャル同士のものに限定しない質問もあって「おっ、いいね!」と思ったのですが、その後の変態行為についての質問で、同性愛=変態行為と受け取れてしまう内容があり、たいへん残念でした。

 また、避妊法を問うアンケートで〈膣外射精〉という回答が27%というのも驚きであり、残念です。「それ、ぜんぜん避妊じゃないし! というツッコミも何もないんだもん。オトナの男性にとって常識すぎるから、わざわざいわないの? うーん、でも常識になっていないからこそ4人1人以上の割合でこんな男がいるわけで……。いくらハイファッションでキメていても、こういうことがきちんとできていない男性を「ダサい」と思ってしまうのは私だけでしょうか。

 そして、「女性の本音」を語る役目を、AV女優に担わせる編集のセンスもまたダサい。女性の代表=AV女優っていう感覚、どうにかならないの? と思っていたら、6人の女優さんたちは「NGなのは、膣外射精を避妊だと思っている人」「舐めるのは好きですが、『舐めて』と言ってくる人はいやですね。そういう人に限ってこちらへの前戯は少なくて、自分がイクだけ。こっちは全然感じません」など、男性に迎合しない本音をズバズバ言ってくれていて、溜飲が下がりました。

特集より面白いのが…

 そんなこんなで物足りなさばかり残るセックス特集でしたが、それよりも、表紙を飾る若手実力派ハリウッド女優シャイリーン・ウッドリーのインタビュー記事や、1998年に当時の米大統領ビル・クリントンとの不倫で世界中にその名とプレイ内容を知られてしまったモニカ・ルインスキーのインタビュー記事のほうが、よほど性の〈いま〉を伝えてくれます。

 前者は「日光浴でヴァギナにもビタミンDを補給させる」「ジェニファー・ローレンスと私の共通点は、ショートヘアでヴァギナがあることくらい」とあっけらかんと発言し、女性の性の主体は女性自身にあることを感じさせてくれますし、後者はセックススキャンダルを受けてのバッシングのされ方が男性と女声ではまるで違うこと(男女の違いだけでなく、相手が大統領ってこともあるのでしょうが)、一度セックススキャンダルの餌食となったら世界中どこにいてもついて回る可能性があることを教えてくれます。当時はまだそんな現象はありませんでしたが、いまは彼女のような立場の人でなくても、リベンジポルノされてしまえば誰だってその〈有名人〉になる可能性があります。

 こうして見ると、セックスってわざわざ大特集を組んで気合い満タンで語らなくてもいいよね、と思えてきます。なるほど、私たちの生活においても日常のなかで性について語れるシーンはほとんどなく、ヒソヒソと内緒話で、もしくは「ここはセックスについて話していい場」という大義名分があるところでのみ語られます。それよりも、セックス特集ではない、いろんな記事に性について考えるキーワードや内容が入っているほうがよくないですか? 特別なことじゃない、生活に密着した当たり前のこと。セックスをそんなふうに自然に語るには、雑誌にも私たちにもまだまだ時間が必要だけど、いつかは……と願いながら、GQのページを閉じました。

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プロフィール

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■桃子さん

オトナのオモチャ200種以上を所有し、それらを試しては、使用感をブログにつづるとともに、グッズを使ったラブコミュニケーションの楽しさを発信中。著書『今夜、コレを試します(OL桃子のオモチャ日記)』ブックマン社。 ブログ twitter

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