【まんこカスタマイズAtoZ】

03. 脱・におうまんこ♡ 時代は『香らせまんこ』です!

「あそこがトロピカルな匂いになる石けん」を買う女たち、そして、「あそこのリアルな匂いがする香水」を買う男たち――。お手入れしたらしたで“ビッチ”扱いされ、お手入れしないならしないで“だらしない女”扱いされる不思議なパーツ、まんこ。人類がまんこに加えてきた、美白・脱毛・整形・装飾などなどの“まんこカスタマイズ”の歴史をふりかえる連載、今回は「匂い」のお話です。(連載・全10回予定)


自分の性器の匂いについて、考えたことはありますか?

「あなたのまんこはどんな匂い?」

 こんな率直な質問を、女性たちに投げかけた戯曲がありました。その名も「ヴァギナ・モノローグス(おまんこのひとりごと)」。実在する女性たち数百人が、彼女たちの女性器について語ったことを、アメリカのパフォーマーであるイヴ・エンスラーが舞台作品としてまとめあげたものです。

 この「ヴァギナ・モノローグス」(1)によれば、「あなたのまんこはどんな匂い?」という質問に、まんこの持ち主たちはこんな風に答えています。

「大地」
「湿った生ゴミ」
「神」
「深淵」
「スウィートジンジャー」
「汗」
「私自身」
「場合による」
「無臭、って言われました」
「私の夫の顔の匂い」

 さて、あなたはまんこの持ち主でしょうか。そうであっても、そうでなくても、自分の性器の匂いについて、考えたことはありますか?


アメリカのAmazonを見ると、「まんこの匂い人気ランキング」が分かります。

 アメリカのAmazonでは、日本のAmazonと違い、「まんこ消臭スプレー人気ランキング」を見ることができます。この原稿を書いている11月17日現在、人気のフレーバーは以下の通りです。

1位 フローラル(ラベンダー系)
2位 微香料・強力消臭
3位 トロピカル
4位 ベビーパウダー
5位 アイランドスプラッシュ

 ところで、日本のAmazonで売っている、ダッチワイフに匂いを付ける用スプレーのフレーバーラインナップはこんな感じになっています。

・汗の匂い
・生理の匂い
・おしっこの匂い
・女子校生のセーラー服の匂い

 なんでしょうか。このギャップはいったいなんなんでしょうか。生きている自分のまんこがフローラルでフルーティな香りであってほしい人々と、生きてないダッチワイフのまんこがリアリティあふれる匂いであってほしい人々。

いや、ダッチワイフにスプレーされる汗の匂いというのも、いわば性的幻想の中で期待される「女の子の汗の匂い」なわけですから、それがリアルかどうかというとまた議論の分かれるところでしょうが……それにしてもなんていうかこの期待の差、マリアナ海溝級の深い溝を感じる状況です。

 なぜ人は、自分のまんこに「香り」を求め、他人のまんこに「ニオイ」を求めてしまうのか。もちろん例外もあるでしょうが、この期待の差はたぶん、ここから生まれるものだと思うんですよね。

「香らせてる」んじゃない、「匂っちゃってる」ものであってほしい、と。

 自分のまんこにフローラルやらトロピカルやらのスプレーを吹き付ける行為は、ある種、「私のまんこは私が香らせる!」的行為ともうつるわけです。
「自分のまんこは自分のもの」意識があってこそできることなわけです。それに、「これは誰かに嗅がれることがありえるパーツだ」ってことで、他者を意識して準備してる感も出てきますよね。

 そうやって、まんこの持ち主がまんこ管理の主導権を握っていることに、まんこを性的対象として征服したい人々っていうのは萎えてしまうのではないかしら。

「しっかり洗ってきたはずなのに、濡れてきちゃってえっちな匂い……」

「先にシャワーを浴びたいのに、もう我慢できなくって……」

 ……っていうことで、フローラルにもトロピカルにもする余裕がない、「持ち主のコントロール範囲外に行ってしまったまんこを自分が好き放題してしまいたい」っていう欲望が、まんこ消臭スプレーとダッチワイフ匂い付けスプレーのフレーバーの差として現れているんじゃないかしらね。

 とはいえ。自分の手を洗うのは自分、自分の歯を磨くのは自分、自分のまんこを洗うのだって自分なわけです。messyでも「セルフまんまんごしごし恥ずかしい問題」が提起されていますが、まんこの衛生を保つため、「匂っちゃってる」が「臭っちゃってる」に陥らないため、フランスのWEBメディアで提唱されているまんこの匂いコントロール法を最後に見ていきましょう。

フランスの「まんこの匂いコントロール法」とは?

 まず基本として、「まんこには自分で自分をキレイにする働きがあるよ」「それでも臭う場合は、感染症がないか病院でチェックするのが先だよ」ということが言われています(2)。

 それを踏まえた上で、例として挙げられているのは……

・タンポンにヨーグルトを浸し、膣に挿入して1~2時間置いた後に洗い流す。
・お茶の木の精油をたらした水で、おしぼりを作り、外陰部を拭く。
・クロロフィル(葉緑素)のサプリを摂る。
・重曹を入れたお湯につかる。

 などなどといったことです(3)。信憑性や安全性は不明ですから、お試しになる際にはよくご注意いただきたいですが、それにしても、ヨーグルトにつっこんだタンポンをあそこに入れるパリジェンヌ、涙ぐましいですね……。

 ちなみにアメリカでは、パイナップルやバナナを原料とした、「精子の苦みや塩味を軽減させ飲みやすい味にするサプリメント」が特許を取っていました(https://www.google.com/patents/US6485773)。でもこの発明、まんこの匂い改善は想定していないみたいです。日本でも「体臭がバラの匂いになるお菓子」が市販されていますけど、あれはまんこには効くんでしょうかね。

匂ってほしくない人がいる。匂っちゃってほしい人もいる。そんな期待の差を前にしてなお、今日も誰かがヨーグルトタンポンを突っ込んでいるのかもしれません。よかったらあなたが思うまんこの匂いについてのご意見も、コメント欄で教えてくださいね!

参考文献 (1)日本語版は岸本佐知子による翻訳で、白水社より「ヴァギナ・モノローグ」として刊行。本稿はHachette UKによる英語版に基づいています。
(2) フランス語圏のアフリカ系女性のためのWEBメディア、「AfriqueFemme」による。http://www.afriquefemme.com/95-sante/bien-etre/430-comment-se-debarrasser-de-l-odeur-vaginale
(3)フランスの美容・健康情報サイト、「Code of Happiness」による。http://code-of-happiness.org/fr/10-remedes-maison-simples-contre-les-odeurs-vaginales



まんこがピンクかどうかは、人種や性交経験で決まるものではありません。

 たとえば、二〇〇五年の「国際産婦人科ジャーナル」には、こんなタイトルの論文が発表されています。

「女性器の外観~“ふつう”の解体」(3)

 こちらの論文によると、人種に関係なく集められた50人の女性のうち41人が、周辺部の肌より濃い色の女性器をもっていたというのです。

 また、皮膚科医の吉木伸子氏も、その著書で「(乳輪や陰部の色は)その人の体質であって、男性関係とは無関係です」と断言しています(4)。その色は人により、ピンク、赤、ブラウンなどと、まるで口紅の色みたいに様々なのです(5)。

 ですからもうまんこに関しては、ありのままでいいと思うんですよね。世界にひとつだけのまんこですよ。取り除くべきなのはまんこの黒ずみではなく、「黒いまんこ=ヤリマン」という俗説とか、「ヤリマン=悪いこと」という価値観を押し付ける行為のほうだと思うのです。

 ……ということを踏まえた上で、最後に、現在まんこ美白のために世界で流通している美容法を淡々と挙げていきたいと思います(6)。


まんこ美白法・イン・ザ・ワールド

・デリケートゾーン美白化粧品として宣伝されているものを塗る
・シミ取り用のレーザーを当てる
・黒ずみ部分を手術で切除する
・ケミカルピーリング(※化学薬品で肌の表面をすこしだけ溶かす施術)を行う
・レモンやライム果汁をはちみつと混ぜて塗る
・ヨーグルトを塗る

 ……いかがでしょうか。かく言う私も、以前叶姉妹ブログで乳首美白法(ヨーグルトにはちみつとはとむぎパウダーを混ぜて塗る)を読み、「これはまんこにも使えますか?」って書こうとしてためらった経験があります。

 私は、まんこ美白を良いとも悪いとも言いません。ただ、これらのまんこ美白法が、「他人に黒いと言われたくないから」じゃなくて「自分がピンクにしたいから」行われていることを祈るばかりです。

 自分のまんこの色くらい、自分の思うままにしたいですよね。よかったらあなたが思うまんこの色についてのご意見も、messuコメント欄で教えてくださいね!

参考文献
(1)上野千鶴子著『スカートの下の劇場: ひとはどうしてパンティにこだわるのか』(河出書房新社, 1989)
(2)フランスのマリ・クレール誌WEB版イギリスのデイリーメール紙WEB版ほか報じる。2015年10月8日閲覧。
(3)英文原題は“Female genital appearance: ‘normality’ unfolds”、Jillian Lloydらによる。BJOG: an International Journal of Obstetrics and Gynaecology 2005年5月 Vol. 112, pp. 643 – 646に発表
(4)吉木伸子著「いちばん正しいスキンケアの教科書: 吉木メソッドで美肌になる!」西東社, 2014年
(5)Debby Herbenick, Vanessa Schick著「Read My Lips: A Complete Guide to the Vagina and Vulva」Rowman & Littlefield Publishers, 2011 (6)まんこ美白法については、Med-Health.net スキンケア大学ほかを参考にまとめました。


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プロフィール

messy

記事提供

■牧村朝子/ 1987年生まれ。タレント、文筆家。2013年にフランス人女性と同性婚、現在フランス在住。セクシャリティをテーマに、各種メディアで執筆・出演を行う。将来の夢は「幸せそうな女の子カップルに”レズビアンって何?”って言われること」。
URL:messy

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